
わさび祭りは芦生三大祭りの一つで、数百年前から続いているといわれています。
芦生の三大祭りとは、旧暦の3月10日(新暦4月10日)に開催され山の神へその年の五穀豊穣と安全を願う「わさび祭り」、夏の夜に愛宕の神へ火伏せを願いその献燈として行われる「松上げ」、12月初めから半ば過ぎまで山神に感謝する「山の口」という3つがあります。
わさび祭りは毎年4月10日に地区の氏神である芦生熊野権現神社で行われます。
神前にわさびの醤油漬けを供えることからわさび祭りと呼ばれ、南丹市の無形民俗文化財に指定されています。
山仕事を生業とする芦生集落の人々は正月から旧暦3月10日(現在の4月10日)までの間わさびを食べない「わさび断ち」を行います。
一説には冬眠から目覚めた熊に栄養価の高い葉わさびをたべてもらい、安全と豊穣を山の神に祈りを捧げるのだと、ということです。
また神社で祝詞奏上の後、参拝者は拝殿の周りを、列を組んで歩きながら小石を本殿へ奉納する、お百度参りも行われます。

神社での神事が終わると神前に供えられた葉わさびの醤油漬けが参列者にふるまわれ、「わさび断ち」は終わります。
このように古来からの日本の山岳信仰の色彩を強く残したわさび祭りは、民俗学者として有名な柳田国男が編集した『山村生活の研究』で奇祭として紹介されています。
